集客戦略論-2 脚光浴びる集客資源への情報戦略

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集客戦略論 –2
脚光浴びる集客資源への情報戦略
  ~ 発信する機会をつくりだせ ~
                                                   2018.11.26

 先日(2018年11月22日)、僕は自身のフェイスブック宇部芳彦のページ」に岩手県久慈市の『久慈駅前の複合施設・愛称募集』の記事を書きました。それに対して、友人から「なぜ、あの記事を書いたの?募集しているのは久慈市なのに」と言われました。

  この問いに答えます。
  一言で言うと自分をふくめて地域が豊かになる「とても大切な情報戦略」だからです。
  久慈駅前の複合施設のことに限ったわけではなく、ほかの全国のさまざまなケースにも応用できると思います。

 さて、久慈駅前に2020年度オープンをめざして建設される「駅前複合施設の愛称募集の案内」は現在、僕の知る限りでは、市のホームページにしか掲載されていません。しかしイメージ 1、応募資格は「誰でもOK」となっています。つまり市民でなくても応募できるわけです。

久慈駅前」のようすは、NHKの朝ドラ「あまちゃん」によって全国に知らしめられました。くり返しますが、久慈市に住む人でなくても、全国のあまちゃんファン、朝ドラファンなど誰でも応募でき、岩手県久慈市の駅前の建物の名づけ親になれるということです。

 僕はフェイスブックにこの愛称募集を伝える記事をアップしましたが、僕のフェイスブックの「友達」つまり「読者」は久慈市民だけなく全国、北海道から沖縄までの人たちがいます。市民はもとより、フェイスブックの友達、あるいは友達の友達が応募してくれる可能性もないとは言い切れません。

 もし、市外から応募してきた人のネーミング案が「複合施設の愛称に採用されたら?…」イメージ 3

  久慈市はより積極的にPRする理由ができます。もちろん、市民案が採用になった場合でも久慈市は結果発表するでしょう。
 しかし、市外の人からの応募案が採用になった場合を考えてみれば、より積極的に、と言うか「しつこいほどに」PRしても人々は好意的に受け止めてくれるはずです。「開かれた市、フェアな市民だな」と。
  新聞や雑誌、またフェイスブックやブログなどSNSでも全国の人々や久慈市民たちが好意をもってその情報を発信してくれることになるでしょう。 

 そうなれば、駅前空間が再び脚光を浴びます。
全国の人が、あるいは名づけ親になった人が住むまちの人々も久慈を訪れてくれるようになるかもしれません。
  人がくればいくばくかのお金を落としてくれますし、地元にはない発想をもたらしてくれまイメージ 4す。だから、久慈に住む私たちは豊かになれる可能性が高まります。

 よしんば、市外・県外の人が応募した愛称が採用にならなくても、たとえば経過発表のとき「盛岡市から何人、東京都から何人応募してきました」というように、久慈市も前向きな情報発信ができるネタをつくりだせる可能性が高くなります。

                       
                   
 僕は、地域資源の差別化を図るためには「ストーリー」が大切だといつも言っています。ストーリーとは、ヒト、モノ、コトにまつわる「物語」のことです。物語をヒトやモノやコトに添えることによって、それは独イメージ 5自のもの、世界で1つだけのものになります。
 ストーリーが地域外の人たちから共感を得られれば、それはとてつもない集客資源になることは「あまちゃん」が教えてくれたはずです。

 そして、宇部は「情報発信」も「ストーリー」だと定義しています。
  情報発信の機会をつくりだして何回か重ねていくことで、発信されたという事実が重なり、それがストーリーになるわけです、独自の歩みなのですから。
  言いかたを変えれば「情報発信機会をつくりだす」ということは「ストーリーをつむぎだしていること」、すなわち「差別化を図っている」ことと同義なのです。

 だから僕は「久慈駅前複合施設・愛称募集」の記事を書いたのです。巡りめぐって、僕も豊かになれる可能性を求めて。

                           *文・写真/宇部芳彦